平成15年 1月12日

「御講」について(一)
■御 講
 御講は御書講の略。つまり仏が書かれたものを講義し学ぶこと

■御講の意義
 一、御本仏様への御報恩
 二、成仏の修行
 三、法統相続の根源


■御講の始まり
富木殿御消息(文永六年六月七日 四十八歳 新編四一八頁)

大師講の事。今月は明性房にて候が、此の月はさしあい候。余人の中せんと候人候はゞ申させ給へと候。貴辺如何仰せを蒙り候はん。又御指し合いにて候わば他処へ申すべく候。恐々謹言。

六月七日                         日蓮 花押
土木殿

【意訳】
 天台大師の御講の事。今月は明性房の当番ですが、生憎都合が悪くなり、どなたか他の人で代わってくれないだろうか、と問い合わせがありました。富木さん貴方は如何でしょうか。引き受けてくださいませんか。また、都合が悪ければ他の方に問い合わせます。

【解説】
 大聖人様は外用の師として天台大師を立てられます。外用とは外側、一往の意味です。外用に対する言葉が内証です。内証は久遠元初の自受用報身如来様です。
 ともあれ、天台大師の御講、つまり、法華経の勉強会であり、摩訶止観の勉強会が執り行われていた事がわかります。しかも、毎月です。中にはこの御文の明性房のようにその月の当番であっても都合が悪くなる事もあったようです。今日とあまり変わりませんね。仏乗寺でも住職が本山に出仕になり、所化が代理を務める事もあります。しかし、誰かが交代して奉修されていた様子がよくわかる御文です。
 大聖人様が、御自らその手配をされていると言う事も恐れ多いような気がしますが、ありがたいですね。


金吾殿御返事(文永六年十一月二十八日 四十八歳 新編四一八頁)

大師講に鵞目五連給び候ひ了んぬ。此の大師講三・四年に始めて候が、今年は第一にて候ひつるに候

【意訳】
 天台大師の御講に鵞目を五千枚確かにお受け致しました。この御講は三・四年前から始めましたところ、今年は益々盛んになってまいりました。

【解説】
 御講に際し、大田金吾が大聖人様に鵞目、つまりお金の御供養を申し上げた事がわかります。今日の皆様と同じですね。また御講は持続して行われ年々盛んになっています。


弁殿尼御前御書 (文永十年 九月十九日 五十二歳 新編六八七頁)

弁殿のに申す。大師講をおこなうべし

【解説】
 流罪地の佐渡から鎌倉にいる弟子の弁阿闍梨日昭に、大師講を行いなさいと命ぜられた御文です。大聖人様が流罪中であっても、弟子檀那に対し仏道修行に励む事を勧められます。弟子檀那が一カ所に集まり、大聖人様のお手紙を拝読したり法華経の勉強をすることにより、互いに励まし合い、法難を乗り越え、一生成仏の功徳を得る信心錬磨の場として、「御講」が活用されたのです。 


地引御書   ( 弘安四年十一月二十五日  六十歳 新編 一五七七頁)

坊は十間四面に、またひさしさしてつくりあげ、二十四日に大師講並びに延年、心のごとくつかまつりて、二十四日の戌亥の時、御所にすゑして、三十余人をもって一日経かきまいらせ、並びに申酉の刻に御供養すこしも事ゆへなし

【意訳】
 新しく建てた坊は十間四面に、庇を二重に付けたものです。二十四日は天台大師のご命日ですから御報恩の御講をし、延年の舞を行い、心の思うままに奉修致しました。そして同じ日の戌の刻(午後八時から十時)からは御本尊様の前に三十数人が集まって法華経の写経を致しました。

【解説】
 大聖人様が、新しく建立した本堂の落成式に大師講を奉修されております。十一月二十四日が天台大師の命日です。その日に併せての落成入仏式です。このように、大聖人様は「外用の師」を大切にすることを示されます。その御振舞は、末代の私たちに「御報恩」を教えて下さるものなのです。 


■大聖人様御入滅の後は大聖人様に御報恩
新田阿闍梨御房御返事  (歴全一ー一一二)

正月十三日、御霊供料・白米三升、芋五升、かちめ五把、牛房一把、うちたうふ一はち、納豆、御酒一具、かふら(蕪)、すりたうふ、いつれもいつれもありがたくそうろう。恐々謹言
 正月十二日
                            白蓮 花押
新田阿闍梨御房御返事 

【通解】
 正月の十三日の御講に、御本尊様にお供えする品として、白米を三升、芋を五升、かちめ(昆布の一種)を五把、ごぼうを一把、うち豆腐を一鉢、納豆、お酒を一式、かぶら、すり豆腐、どの品々も有り難く思います。
 
【解説】
 年が新しくなって始めての御報恩御講に、重須の日興上人のもとへ日目上人が大石寺からお供えする品々をお送りしたときの御返事です。
 日興上人と日目上人の師弟相対したお姿を拝する事ができます。そして、二祖上人と三祖上人の御振舞を通して、毎月の十三日に奉修される日蓮大聖人様の御報恩御講がいかに大切であるかを学ぶ事ができます。

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