平成15年 7月12・13日 御講

立正安国論
立正安国論(新編御書二四九頁)

 仁王経に云く「人仏教を壊らば復孝子無く、六親不和にして天神も祐けず、疾疫悪鬼日に来たりて侵害し、災怪首尾し、連禍縦横し、死して地獄・餓鬼・畜生に入らん。若し出でて人と為らば兵奴の果報ならん。響きの如く影の如く、人の夜書くに火は滅すれども字は存するが如く、三界の果報も亦復是くの如し」と。
 法華経第二に云はく「若し人信ぜずして此の経を毀謗せば、乃至其の人命終して阿鼻獄に入らん」と。又同第七巻不軽品に云はく「千劫阿鼻地獄に於て大苦悩を受く」と。涅槃経に云はく「善友を遠離し正法を聞かず悪法に住せば、是の因縁の故に沈没して阿鼻地獄に在って受くる所の身形縦横八万四千由延ならん」と。
 広く衆経を披きたるに専ら謗法を重んず。悲しいかな、皆正法の門を出でて深く邪法の獄に入る。愚かなるかな各悪教の綱に懸かりて鎮に謗教の綱に纏はる。此の朦霧の迷ひ彼の盛焔の底に沈む。豈愁へざらんや、豈苦しまざらんや。汝早く信仰の寸心を改めて速やかに実乗の一善に帰せよ。然れば則ち三界は皆仏国なり、仏国其れ衰へんや。十方は悉く宝土なり、宝土何ぞ壊れんや。国に衰微無く土に破壊無くんば身は是安全にして、心は是禅定ならん。此の詞此の言信ずべく崇むべし。


【通解】(六十六世日達上人)

 仁王経嘱累品には次のように説かれています。「仏教を破る人には親孝行の子は生まれない。親子兄弟妻子が仲違いして、天の神も助けてくれない。病魔におそわれない日々はなく、生涯どこへ行っても災難がついてまわり、死んでからは地獄・餓鬼・畜生に堕ちるであろう。たまたま人間と生まれても兵士や奴隷となって苦しみを受けるであろう。響きのように、影のように、夜、灯の光で字を書いても、灯の消えた後も字は残るように、現世で犯した謗法の悪業の罪は消えないのである」と。
 法華経第二の巻の譬楡品には、次のように説かれています。「もし人がこの経を信じないで毀るならば、(中略)その人はこの世の命が終わった後、無間地獄に堕ちるであろう」と。また同じく法華経第七巻の常不軽菩薩品には、次のように説かれています。「彼らは法華経の行者を迫害した罪によって千劫もの永い問、無間地獄にあって大いなる苦しみを受ける」と。涅槃経の迦葉品には次のように説かれています。「善き師を捨てて正法を聞かず、悪法に執着するならば、その罪によって無間地獄の底に沈んで、八万四千由旬の広大な身体いっばいに、永久的に地獄の苦しみを受けるであろう」と。
 かくの如く広く、たくさんの経々を開いて見ると、いずれも謗法罪の重罪であることが教えられております。悲しいことには、日本国の人々は正法の門から遠ざかり、邪法の獄屋に入ってしまい、愚かなことには、悪い教えの綱に引っ掛かり、永久に謗法の網に包まれてしまうことであります。このように正邪を弁別することもできない朦朧とした迷いに陥って、ついには死して地獄の焔の中に沈没してしまうのであります。誠に秋傷のことであり、苦痛のいたりであります。以上のごとく日本国の人々は邪法を信ずるが故に国中に災難が起こり、ついには国が亡ぶことになるのでありますから、あなたは、一刻も早く邪法を捨てて正法の信心をして、速やかに法華一乗の大善に帰入しなさい。かくしてこそ、この世の中は皆、平和な仏国土となるのであります。仏国土は衰微することがありません。その国土の全体が七宝で出来上がった土地であります。七宝の国土は破壊されることはありません。国が衰微せず、土地が破壊しなければ、その処に居住する人々の身体は安全であり、精神は平穏であります。この言葉こそ、世の人々は信ずべきであり、また崇敬すべきであります。

文責編集部 転載複写等禁止