日蓮大聖人御書拝読と御法話

平成16年6月13日 御報恩御講

富木尼御前御書

富木尼御前御書(御書九五五頁)
建治二年三月二七日 五五歳

富木尼御前御書(御書九五五頁)

 なによりもをぼつかなき事は御所労なり。かまへてさもと三年、はじめのごとくに、きうじせさせ給へ。病なき人も無常まぬかれがたし。但しとしのはてにはあらず。法華経の行者なり。非業の死にはあるべからず。よも業病にては候はじ。設ひ業病なりとも、法華経の御力たのもし。阿闍世王は法華経を持ちて四十年の命をのべ、陳臣は十五年の命をのべたり。尼ごぜん又法華経の行者なり。御信心は月のまさるがごとく、しをのみつがごとし。いかでか病も失せ、寿ものびざるべきと強盛にをぼしめし、身を持し、心に物をなげかざれ。


【通解】

 なによりも気にかかることは、貴女のご病気のことです。三年の間に治すと心に定めて、はじめに決めたように、お灸の治療もなさるとよいでしょう。そもそも、人は生まれたならば死を迎えることは定まったものです。病気でなくとも年老いて臨終を迎えることもあります。しかし、貴女はそんな年齢ではありません。しかも法華経の行者です。思いがけない災難などの非業の死などは絶対にありません。また今の病も業病ではありません。かりに業病であったとしても必ず治ります。なぜならば、御本尊様には頼もしい力があるからです。例えば、阿闍世王というインドの国王は、法華経を信仰することにより四十年もの間寿命を延ばしました。中国では陳臣という人が法華経の信仰で十五年間も寿命を延ばすことができました。今の尼御前もこれらの人たちと同じ法華経の行者です。貴女の御本尊様に対する御信心の姿は、満月のように少しも欠けるところがなく、また、海に潮が満ち満ちているようなものです。であれば、御本尊様の功徳により、貴女の病は必ず良くなり、寿命も延ばすことができます。そのためには、疑いの心を懐かずに修行に励むことです。


○業病-前世の宿業により起こる病のこと。精神的な病などをいう。

○病に六種類の原因あるを明かされる御文
『太田入道殿御返事』(九一〇頁)
 病の起こる因縁を明かすに六有り。一には四大順ならざる故に病む、二には飲食節せざる故に病む、三には坐禅調はざる故に病む、四には鬼便りを得る、五には魔の所為、六には業の起こるが故に病む

【通解】病気の因縁には六種類あります。一には、人間の身体を構成している地・水・火・風の四大種が不順不調和であるから。二には、暴飲暴食をするから。三には、修行をするにあたって法に適っていないから。四には、悪鬼が隙をねらって入りこむから。五には、天魔が起こってくるから。六には、前世の宿業が現れてくるから。


《業病の因》
【止観】六に業病とは、或は専ら是れ先世の業、或は今世に戒を破すれば先世の業を動じ、業力は病を成ず
〔五戒〕@不殺生戒 A不偸盗戒 B不邪婬戒 C不妄語戒 D不飲酒戒


《治し方》
【止観】業病は、当に内に観力を用い外に懺悔を須うべし、乃ち差ゆることを得べし
【意味】業病を治すには、観心の修行をすることである。末法の観心の修行は御本尊様に唱題をすること。さらに、唱題の功徳を伝えて行くこと。これを実践することにより治癒する。


《転重軽受》
【止観】若し今生に戒を持せば、亦業を動じて病を成ず。故に若し重罪有らば、頭痛して除くことを得、応に地獄に重く受くべきを人中に軽く償うと云う。此れは是れ業の謝せんと欲するが故に病むなり。
【弘決】若し持戒の者の宿業の病を動ぜば、根に随って戒を判じ以て罪滅を験す

『太田入道殿御返事』(九一三頁)
 然りと雖も宿縁の催す所、又今生に慈悲の薫ずる所、存の外に貧道に値遇して改悔を発起する故に、未来の苦を償ひ現在に軽瘡出現せるか

【通解】貴方は過去世の宿縁により、また今生に日蓮の教えを信ずることにより、過去の謗法を悔い改め正法の信仰をすることになった。その功徳として、未来に大きな苦を受けるところを、現在に軽く受けている


(平成十六年六月十三日)

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