日蓮大聖人御書拝読と御法話

平成16年7月11日 御報恩御講

立正安国論

立正安国論(御書二三四頁)
文応元年七月一六日 三九歳

立正安国論(御書二三四頁)

蒼蠅驥尾に附して万里を渡り、碧蘿松頭に懸かりて千尋を延ぶ


【語句の意味】

○蒼蠅(そうよう)とは青ばえのこと。ここでは力のないものに例えて引用される。
○驥尾(きび)の驥は一日に千里を駆け抜ける伝説上の馬。驥尾は「驥の尻尾」。
○碧蘿(へきら)は緑色の蔦のこと。


【現代語訳】

 青いはえは自らの力だけでは遠くまで飛ぶことはできないが、一日に千里を駆け抜ける馬の尾につかまっておれば万里もの遠くまで行くことがでる。また、蔦も自らの力では上にのびることはできないが、松の先に懸かることで高く高く昇ることができる。


【ポイント】

 弱い立場にある私たち凡夫を、「蒼蠅」・「碧蘿」に譬え、そして「驥尾」・「松」を御本尊様に譬えての御指南です。御本尊様のお力により、青ばえが万里先まで行けるように、私たちも成仏の功徳を頂くことができます。蔦が千尋を伸ることができるように、私たちも成仏の境界を開いて行くことができるのです。

 御本尊様をお受けし、お題目を唱えることにより、教学が教義がと頭で成仏をするのではなく、「ただ信じる」ことにより、大きな結果を出すことができることを教えて下さるのです。

 そして、この御文から、大御本尊様の偉大な仏力・法力を学ぶことができます。繰り返しますが、そのためには「ただ信じる」ことが大切です。


【七月は「立正安国論」の月】

 日蓮大聖人様のご生涯のお振る舞いを、「立正安国論に始まり立正安国論に終わる」と申し上げます。その理由は、文応元年(一二六〇年)七月十六日に立正安国論を認めて鎌倉幕府の執権であった北条時頼に上呈してより、つねに正法の南無妙法蓮華経を唱えることを人々に勧めました。大聖人様は立正安国論の中で、

1)社会の混乱の原因は誤った教えにある。
2)誤った教えを改めて正しい教えに帰ることが大切である。
3)そうすれば、世の中が平和になり、人々も安心して暮らすことができる。
4)そのためには、一人ひとりが南無妙法蓮華経と唱え、周囲にも勧めてゆくことである。

と述べられ、南無妙法蓮華経と唱えることを勧め、時の執権北条時頼を折伏されたのです。 大聖人様はこの後、どのような時にも、どのような相手に対しても堂々と説き続けられました。弘安五年十月十三日のご入滅を迎えられるに際しても、弟子の日興上人や信徒の南条時光などを前に最後まで立正安国論の講義をされました。

 また、当抄で述べられる「自界叛逆難(じかいほんぎゃくなん)」は、文永九年(一二七二年)二月十一日の〔北条時輔の乱〕となって的中しました。

 さらに、「他国侵逼難(たこくしんぴつなん)」は文永十一年(一二七四年)十月五日の〔文永の役〕で現実のものとなりました。


【二重の証明】

 安国論で予言されたことが的中したことは誠に大きな意味があります。それは、大聖人様が予言の根拠とされたのは「経文」であり、他国侵逼等が事実として現れたことは、また「経文」の真実が明らかになったことです。

 その「経文」には、末法には法華経のみが力を持つ、とあり、法華経の正法たるゆえんが説かれています。末法にあっては、インドに出現された釈尊の説いた種々の教えはすでにその役目を終え、末法には末法の仏様が出現され、民衆を成仏へ導くことが説かれております。

 ではどのような方がその条件を備えているか、といいますと、経文には「法華経を説き勧めることにより三類の強敵を呼び起こし、敢然とそれらと闘い、少しも退くことがない」お方が末法の仏であると述べられております。

 そのことを実際に証明するために大聖人様は「立正安国論」をご執筆になり、最高権力者であった執権の北条時頼を折伏したのです。そして流罪・死罪に及ぶ法難を現実のものとされました。三類の強敵を受けた方は、大聖人様以外にはおりません。

 したがって、経文が真実である、ということは経文に説かれるままに折伏を実践され、三類の強敵を招きだした方が末法の御本仏であられる、ということになります。

 日蓮大聖人様のご生涯を、「立正安国論に始まり立正安国論に終わる」と申し上げるのは、「折伏に始まり折伏に終わる」ということなのです。大聖人様が教えて下さったことを日興上人がそのままに受け継がれ、以来、代々の御法主上人と、その御指南にしたがう僧俗が七五〇年の間護り伝えた日蓮正宗の信仰は「折伏」の二字に尽きます。「折伏」の修行に身を捧げることにより、自らはもちろん周囲の方たちを幸福に導くことができるということが「立正安国論」の教えです。

 暑い毎日ではありますが、私たちの信仰の原点である「立正安国」を高く掲げ、共どもに精進を重ねてまいりましょう。

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日蓮正宗向陽山佛乗寺