日蓮大聖人御書拝読と御法話

平成17年4月1日 永代経

月水御書

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月水御書 新編御書三〇三頁
文永元年四月一七日 四三歳

○なぜ方便品と寿量品を読むのか

大聖人様は、『月水御書』(御書三〇三頁)で、

「法華経は何れの品も先に申しつる様に愚かならねども、殊に二十八品の中に勝れてめでたきは方便品と寿量品にて侍り。余品は皆枝葉にて候なり。(乃至)余の二十六品は身に影の随ひ、玉に財の備はるが如し。寿量品・方便品を読み候へば、自然に余品はよみ候はねども備はり候なり」


【意訳】
法華経の二十八品は先に申し上げましたように何れも大切なものです。しかし、その中でも方便品と寿量品は特に勝れています。その他の品は枝や葉のようなものです。方便品と寿量品以外の二十八品は身に随う影のようなものであり、玉に財が備わるようなものです。寿量品と方便品を読めば、他の二十八品を読むことはなくともその功徳を自然に備えることになります。

と述べられております。この御文から、方便品と寿量品を読むのは、大聖人様が定められた修行であることが明らかです。
 
 ゆえに、総本山第二十六世日寛上人は『当流行事抄』で
「当門所修の二行の中に、初めに助行とは、方便寿量の両品を読誦し、正行甚深の功徳を助顕す。譬えば灰汁の清水を助け、塩酢の米麺の味を助くるが如し。故に助行と言うなり。(乃至)次に正行とは、三世諸仏の出世の本懐・法華経二十八品の最要・本門寿量の肝心・文底秘沈の大法・本地難思の境智冥合・久遠元初の自受用身の当体・事の一念三千・無作本有の南無妙法蓮華経是れなり。荊渓尊者の謂えること有り「正助合行して因んで大益を得」云々。行者応に知るべし、受け難きを受け値い難きに値う、曇華にも超え浮木にも勝れり。一生空しく過ごさば万劫必ず悔いん、身命を惜しまずして須く信行を励むべし。「円頂方袍にして懶惰懈怠の者は是れ我が弟子に非ず、即ち外道の弟子なり」と云々。慎しむべし慎しむべし、勤めよや勤めよや」と教えて下さるのです。

 この中で、「灰汁の清水を助け、塩酢の米麺の味を助くるが如し」とのお言葉は勤行の意味を端的にわかりやすく教えて下さるものです。意味は、洗濯をするときに、水だけで洗うよりも灰汁(あく)を使うことにより汚れが良く落ちるようになる、また、塩や酢の味付けがあれば米や麺の味をひきたたせるようなものです。このお言葉を心にいれて、勤行をすれば、より御本尊様の有り難さを実感することができます。またより唱題の楽しみがまします。また、荊渓尊者の「正助合行して因んで大益を得」との文を引用されます。正行と助行とが合わさった修行が因となって大きな利益を得ることができる、との教えも有りがたいものです。

 さらに、方便品を読む理由を、日寛上人は「所破・借文」と教えて下さいます。「所破」とは、打ち破り、さらにその奧底にあるものに到達する意味です。つまり、釈尊の説かれた方便品をそのまま読んでも末法の私たちの功徳にはならない、ということを日々の修行の中において学ぶことが所破です。「借文」は文の意を借りることによって、御本仏日蓮大聖人様のお悟りである三大秘法の御本尊様の大功徳を実感することです(このことは十如是のところで触れます)。

 このように、朝夕の勤行は、日蓮大聖人様が教えて下さるものなのです。そのことを素直に実践するのが日蓮正宗の修行です。時代が変わろうとも、国が変わろうとも、末法においては大聖人様の教えのままに精進することが功徳を得るただ一つの道であることを忘れてはなりません。

 勤行唱題は、修行ですから辛いこともあります。というより、時間がない、面倒だ、という思いが先に来るのではありませんか。最初はしていても、やがて億劫になりついには離れてしまうこともままあります。

 そのような話を聞くたびに思うのですが、たとえば病気の時に、「この薬を飲めば必ず治る」と処方されたなら、十人が十人薬を飲むことでしょう。どうしてこの「大良薬」を飲めないのだろうかと。「良薬口に苦し」で、飲みにくい薬ほど、効き目は大きいことをどのようにすれば理解されるのであろうかと。

 大聖人様は「偉い方が書いた書き物や解説書よりも、現実の姿が一番である」と仰せになっておりますように、やはり、私たち一人ひとりがお医者様である大聖人様の処方箋通りに妙法の薬を飲み、病気を治すことによって、功徳の証拠を見せてあげることが一番の方法であることに気づくのです。
 
 私たちは、富士大石寺の流れの中に身を投じ、勤行唱題を行っています。その結果として、大聖人様が示して下さり、日寛上人をはじめとする御歴代上人が、唯授一人のお立場から、大聖人様の教えを、わかりやすく私たちに解説され、信心を励まして下さることに喜びを感じ、お題目を唱え折伏を行ずる「素直な心」をもつことができております。その素直な心が「功徳」です。

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