日蓮大聖人御書拝読と御法話

平成19年10月1日 永代経

「四苦八苦」

 「答案用紙を前に四苦八苦する、金策に四苦八苦だ」等の言葉を口にしたり耳にします。

 この四苦八苦は本来は仏教の用語です。四苦と八苦で十二の苦しみがあるように思っている人も多いようですが、生・老・病・死の四苦と愛別離苦(あいべつりく)、怨憎会苦(おんぞうえく)、求不得苦(ぐふとくく)、五蘊盛苦(ごうんじょうく)の四苦を足して四苦八苦といいます。百八の煩悩は、四苦(4×9=36)八苦(8×9=72。36+72=108)から出たという説もあります。なんだ語呂合わせか、と思う前に、それだけ苦しみが多い、という現実に目を向けることが大事だと思います。私たちが生きている証としてこれらの苦しみを受けるのであり、生ある限り逃れることはできないものです。

 また、過去世、当世、来世の三世の生命感に立つときには、四苦八苦を苦しみと捉えるのではなく、成仏のために仏様から与えられたものである、と前向きに捉えることで人生は変わります。

 四条金吾に与えた御書には
「苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思ひ合はせて、南無妙法蓮華経とうちとなへゐさせ給へ。これあに自受法楽にあらずや」 (新編御書九九一頁)
という有名な御文があります。自受法楽は法の楽しみを自らの身に受けることで、仏様の境界のことです。したがって、私たちも、苦しみも楽しみも別の命の中にあるのではなく、一人ひとりの命の中にあるのだ、と知り、御本尊様にお題目を唱えることが成仏の境界である、と教えて下さるのです。

 苦しみから目をそらすことなく、苦しみから逃げることのない自分でありたい・・・ 苦しみも楽しみも永遠には続かない、周囲の出来事に影響を受けずに、そのようなことに執着をしない人生でありたい・・・悩みは尽きません。

 「四苦八苦」の本来の意味を知ることで、実りある人生をおくることができる、と仏様は教えて下さいます。そこで、十一月の御経日には、「四苦八苦」について学びます。苦しみの中にあると思っている方、解決の糸口になるかも知れません。楽しみにご参詣下さい。

 今日から衣替えです。心を引き締めて更なるご精進をお祈りいたします。

文責編集部 転載複写等禁止



日蓮正宗向陽山佛乗寺