日蓮大聖人御書拝読と御法話

平成20年8月3日 広布唱題会

四条金吾殿御消息

四条金吾殿御消息(御書四七八頁)
文永八年九月二一日 五〇歳

四条金吾殿御消息 (新編御書四七八頁)

三光天子の中に月天子は光物とあらはれ竜口の頚をたすけ、明星天子は四・五日已前に下りて日蓮に見参し給ふ。いま日天子ばかりのこり給ふ。定めて守護あるべきかと、たのもしたのもし。法師品に云はく「則ち変化の人を遣はして、之が為に衛護と作さん」と、疑ひあるべからず。安楽行品に云はく「刀杖も加へず」と。普門品に云はく「刀尋いで段々に壊れなん」と。此等の経文よも虚事にては候はじ。強盛の信力こそありがたく候へ


 当抄は文永八年(一二七一年)九月二十一日に、四条金吾に与えられた御文である。竜の口法難から十日後に当たり、相模の国依智(厚木市)にあった本間邸にて認められた。

 御文の、三光天子とは、『法華経序品第一』に、「復有名月天子、普光天子、宝光天子」(新編法華経・五六頁)と説かれ、これを天台が、『法華文句』で、「名月等の三光天子は是れ内臣、卿相の如し。或いは云く、是れ三光天子のみと。名月は是れ宝吉祥にして月天子大勢至の応作なり。普光は是れ明星天子にして虚空蔵の応作なり。宝光は是れ宝意にして日天子観世音の応作なり」と解釈している。即ち、三光天子とは太陽(宝光天子)と月(名月天子)と星(普光天子・ふこうてんし)のことをいう。因みに、普は、あまねしと読み、広くいきわたっている意である。夜空に満天の星が輝いている様はまさに普光天子の名に相応しいものがある。

 この三光天子は、法華経の行者を守護する役目にあり、三光天子の活動があるところには法華経の行者が出現していることを知るべきである。

 当抄では先ず、「竜の口の頚の坐」において、光物として顕われ大刀取りの目をくらましたのは「月天子」であるとされている。この働きにより、幕府は大聖人様の首を切ることが出来なかった。

 次に、四・五日後に大聖人様の御前に、「明星天子(普光天子)」が顕われたと仰せになられている。このことを『種々御振舞御書』の中で、「十三日の夜、大きな星が下りてきて庭の梅の木の枝に掛かった。その有り様を見て兵士たちは驚いた(取意)」(一〇六〇頁)と記されている。そして残るところは、「日天子」ばかりであるが、はたしてどのような働きをして日蓮を守護するであろうか、頼もしい限りである、と仰せである。

 さらに、法華経の法師品第十・安楽行品第十四・普門品第二十五の文を引かれて、法華経の行者を守護する不思議の働きのあることを重ねて仰せになる。

 この御文は最初にも述べたが四条金吾に与えられたものであり、四条金吾は日蓮大聖人様の供をして竜の口にあった。そこでの一部始終を見ていたことは、他の御書にも記されていることからも疑う余地はない。別言すれば、四条金吾は大聖人様が竜の口で顕された、「不思議なこと」を証明する役目にある信徒、ということになる。

 弘法をはじめとする邪な宗旨を建てる祖師たちにまつわる、「不思議なこと」が多く伝えられている。しかし、それらを証明する「人」が実在する、ということを聞いたことはない。また、実際の「文」として残されているものもない。まさに迷信の類であり、それらの「不思議なこと」をもとにして信仰を定めるのは、「盲信」以外の何ものでもない。堕獄の因である。恐れなければならない。

 ところが、日蓮大聖人様は如何であろうか。「竜の口」でのお姿を、「真実である」と証明する「人」が実在するのである。さらに、疑いのない「文」がある。よって、「不思議」は不思議ではあるが真実であることが証明されるのである。

 この時の日蓮大聖人様の御振舞は、法華経が「真文」であることを証明されるとともに、日蓮大聖人様ご自身が、「法華経の行者であることを証明する」ことになる。それはとりもなおさず、我ら末法の凡夫を、「真文」である法華経の文底に解き明かされている「真実の仏」に導くための御本仏の御化導なのである。

 人知をはるかに超越した、「不思議」なことをもって、御本仏としてのお立場を教えて下さる「竜の口の法難」を、どのように拝するかによって、同じように南無妙法蓮華経と唱えていても唱える意義が違ってくる。幸いなことに、私たち富士大石寺の流れに身をおく法華講衆は、竜の口法難を「発迹顕本」、つまり、御本仏が垂迹の姿(仮の姿)を取り除いて、本来の姿を顕された時であると拝している。この強い信がある限り、罪障消滅・現当二世の功徳を受けることは間違いがない。

 当抄の最後で、「強盛の信力こそありがたく候」と結ばれるのは、「日蓮の説くままに強く信ずることは易しいことではない、しかし、それを実践することによって多くの功徳を受けることが出来る」と励まして下さっている。

 九月も半ばを迎え、暑さも治まる気配ではあるが油断なく、大聖人様の仰せを堅く心に留め、御法主上人の御指南のままに「自行化他」の末法の信仰に邁進しよう。「不思議」なことを通して教えて下さったことを信じる素直さが成仏の秘訣でもある。ご精進・ご精進。

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