日蓮大聖人御書拝読と御法話

平成22年9月5日 広布唱題会

乙御前母御書

乙御前母御書 (御書 六八八頁)
文永一〇年一一月三日 五二歳

乙御前母御書 (御書六八八頁)

釈迦如来の御弟子あまたをはしゝなかに、十大弟子とて十人ましましゝが、なかに目 尊者と申せし人は神通第一にてをはしき。四天下と申して日月のめぐり給ふところを、かみすぢ一すぢきらざるにめぐり給ひき。これはいかなるゆへぞとたづぬれば、せんじゃうに千里ありしところをかよいて仏法を聴聞せしゆへなり。又天台大師の御弟子に章安と申せし人は、万里をわけて法華経をきかせ給ひき。伝教大師は三千里をすぎて止観をならい、玄奘三蔵は二十万里をゆきて般若経を得給へり。道のとをきに心ざしのあらわるゝにや。


 当抄は佐渡におわしました日蓮大聖人様の元に参詣を果たした乙御前の母に与えられたものです。内容は、女性の身でありながら、鎌倉から佐渡までの遠き道中の苦難を克服し、仏法聴聞の修行に、御信心の姿勢が顕わているとお誉めくださると共に、御法門を聴聞する功徳を教えて下さっております。

 現代語に訳しますと、釈尊の御弟子が大勢いらっしゃる中でも、ことに勝れた十人のお弟子がおられました。その中の目連尊者という方は、神通力が勝れていることで第一の方でありました。その神通力は、四天下の中で、太陽や月の光が届く全てのところを、髪の毛ほどの細いところまで残らず見ることができるほどのものでした。このような貴い功徳をどうして得ることが出来たのでしょうか、とお尋ねいたしましたところ、前世において千里もの遠き道を厭わずに仏法を聴聞するために足を運んだからです、と釈尊はお答えです。また天台大師の御弟子である章安は、万里の道を踏み分けて天台大師から法華経の教えを聴聞されました。日本の伝教大師は三千里の海山を越えて中国に渡り、摩訶止観を習いました。さらに、玄奘三蔵は二十万里の道を通ってインドから般若経を中国に伝えられました。このように、道が遠いことによってご信心の志の深さが顕わているのでしょう。

 先月末に総本山で開催された海外信徒夏期研修会に、世界各国から大勢の海外信徒が登山をされました。近いといわれる韓国からでも三泊四日の日程です。韓国でも地方に在住する方はソウルや釜山に前後一泊ずつしなくてはならない場合もあります。そうしますと、都合五泊六日の旅程になります。ガーナやブラジルの方であれば、二週間を超える日にちを必要とすることもあります。

 まさに、「道の遠いことによって信心の志の深さが顕われている」ようです。しかも、海外からの御信徒は、民族衣装などの特別な服装を持参して御開扉を受ける方が少なくありません。一生に一度の機会、という思いから、精一杯の準備をして登山をされている姿に、求法の精神が満ちあふれていいるように感じます。このようなご信心に、目連尊者以上の功徳が得られることは疑いがありません。来世は必ず善きところに生まれあわせ、広布の使命を果たされるであろうことを強く確信しました。また、本家本元ともいえる私たち日本の法華講に対して、登山参詣の心構えを教えてくれているのではないか、とも思いました。今月の支部登山にあたっては、初心にかえって日蓮大聖人様に御目通りを願いましょう。
日如上人御指南】 (平成二十二年八月一日広布唱題会の砌)

 平成二十七年・三十三年の目標を達成するためには、本年度の戦いがキーポイントになります。『南条兵衛七郎殿御書』には、
「いかなる大善をつくり、法華経を千万部書写し、一念三千の観道を得たる人なりとも、法華経の敵をだにも責めざれば得道ありがたし」(御書・三二二頁)
とおせであります。また『立正安国論』には、
「早く天下の静謐を思はゞ須く国中の謗法を断つべし」(御書・二七四頁)
と仰せであります。
 どうぞ、皆さまにはこの御金言を深く拝し、講中一丸となって、大小を問わず、すべての支部が必ず本年度の折伏誓願を達成されますよう心からお祈り申し上げ、本日の挨拶といたします。

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日蓮正宗向陽山佛乗寺