日蓮大聖人御書拝読と御法話

平成24年12月1日 永代経

妙心尼御前御返事

病を考えましょう

その三

妙心尼御前御返事 (平成新編御書九〇〇頁)
建治元年八月一六日  五四歳

妙心尼御前御返事 (御書九〇〇頁)

 あわしがき二篭、なすび一こ給び候ひ了んぬ。
 入道殿の御所労の事、唐土に黄帝・扁鵲と申せしくすしあり、天竺に持水・耆婆と申せしくすしあり。 これらはその世のたから、末代のくすしの師なり。仏と申せし人は、これにはにるべくもなきいみじきくすしなり。この仏不死の薬をとかせ給へり。今の妙法蓮華経の五字是なり。しかもこの五字をば「閻浮提人、病之良薬」とこそとかれて候へ。


【通解】

あわし柿を二籠となすびを一籠確かに拝受いたしました。
入道殿のご病気のこと、唐土に皇帝(こうてい)と扁鵲(へんじゃく)という薬師がおりました。天竺には持水(じすい)と耆婆(ぎば)という薬師がありました。この人達は世の宝であり後世の薬師の師匠です。仏はこれらの薬師とは比べようもないほど貴い薬師です。この仏が不老不死の薬を説き示して下さいました。その薬とは、いま私たちが信仰している妙法蓮華経の五字の教えです。しかもこの五字を、「一閻浮提の人たちの病にとって最高の良薬である」と説かれております。


【語句の意味】

○あわし柿=渋抜きをした柿。
○閻浮提人、病之良薬=法華経薬王菩薩本事品第二十三の文。「此の経は則ち為れ閻浮提の人の病の良薬なり、若し人有らんに、是の経を聞くことを得ば、病即ち消滅して不老不死ならん」と示されている。(法華経五四〇頁)

富木殿御返事 (御書一五七八頁)

尼ごぜんの御所労の御事、我が身一身の上とをもひ候へば昼夜に天に申し候なり。此の尼ごぜんは法華経の行者をやしなう事、灯に油をそへ、木の根に土をかさぬるがごとし。願はくは日月天其の命にかわり給へと申し候なり。又をもいわするゝ事もやと、いよ房に申しつけて候ぞ。たのもしとをぼしめせ。


【意訳】

尼御前のご病気のことを心配しております。尼御前の病を、日蓮の身の上に表れた病であるように思い、昼となく夜となく諸天に御祈念をしております。
この尼御前が、法華経の行者を養うことを例えれば、灯火の油が切れて消えてしまわないように、油をつぎ足したり、木が枯れないように根本に土をかけて根を保護することと同じです。
広宣流布の命運を支える尼御前の強盛なご信心ですから、日蓮は日天にも月天にも尼御前の命と我が命とを代えるように御祈念をしています。このことを忘れることのないように、伊予房にもそのことを申しつけております。必ず病は良くなると信じお励み下さい。


○日蓮大聖人様が祈って下さる

 私たちが病になったときに、日蓮大聖人様が当病平癒の御祈念をして下さることが、この御書から明らかです。
 だだ一つ条件があります。それは、私たちが広宣流布の使命を自覚することです。この自覚さえあれば、御本仏の御祈念を賜ることは間違いありません。


【まとめ】

病について三回に分けて御書を拝読いたしました。まとめますと、
一、病になる原因を知ること、そしてそれに対処することが大切であること。ただ、病を恐れることなく、病は仏様からの便りであると自覚して御本尊様へのご信心を強くすることが大切であること。
二、御本仏日蓮大聖人様も病を得られていたことを示され、私たちを励まして下さっていること。
三、広宣流布への使命を自覚して精進を重ねるならば、御本尊様からの御加護が必ずあること。
  この三点について学びました。皆様方ご自身が病に冒されていなくとも、周囲に病の方々は大勢おります。そのような方に、病について教えて下さる日蓮大聖人様の御言葉を伝えることも大きな励ましとなります。
 「溺れる者はわらおもつかむ」といいます。病の時、心が弱くなっているときに、心に隙が生じます。何かに頼りたくなります。人間の心は弱いものです。そのような時に、いかがわしい信仰に惑わされると取り返しの付かないことになります。私たちの教えは、そのような人を救う信仰です。従って、病に向き合う、というのは、自身のためだけではないことを心に留めておいて下さい。
 年末年始を控え、慌ただしい時期です。向寒の砌でもあります。ご自愛をお祈り致します。さらなるご精進を。

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日蓮正宗向陽山佛乗寺