日蓮大聖人御書拝読と御法話

平成26年3月21日 日蓮大聖人御書拝読 春季彼岸会

椎地四郎殿御書

椎地四郎殿御書 (平成新編御書一五五五頁)
弘安四年四月二八日  六〇歳

椎地四郎殿御書 (平成新編御書一五五五頁)

此の経を一文一句なりとも聴聞して神にそめん人は、生死の大海を渡るべき船なるべし。妙楽大師の云はく「一句も神に染めぬれば咸く彼岸を資く、思惟修習永く舟航に用たり」云云。生死の大海を渡らんことは、妙法蓮華経の船にあらずんばかなふべからず。 (御書・1555頁)


【語句の意味】

○此の経:法華経のこと。法華経は、それまでの阿弥陀経や大日経などと違い、釈尊の御心に随って説かれたことから、「随自意の経文」といわれる。

○一文一句:僅かでも、少しでも、の意。ここでは、法華経を少しでも聴聞したならば、との意。

○神;心・命・生命・精神等の意。魂。

○生死の大海:ここでは、私たちの出生からから臨終までの生涯を大きな海に例えた言葉。

○妙楽大師:中国天台宗の第六祖。最初儒学を学んだが、後に天台宗の左渓玄朗(さけいげんろう)のもとで法華経を学び、その教えを宣揚した。当時の中国では、華厳宗や法相宗や禅宗などの教えが尊ばれていたが、それらの誤りを破折し、天台法華宗を弘めた。この功績により、呉越王(ごえつおう)から円通尊者(えんつうそんじゃ)と諡(おくりな)がなされた。日本から仏法を学ぶために中国に渡った伝教大師最澄は、この妙楽大師の弟子である、道邃(どうずい)・行満(ぎょうまん)から、天台法華宗の奥義を授けられたことはよく知られている。

○彼岸:仏法では、一往私たち凡夫が日々を過ごし生活を営む世界を「娑婆(しゃば)」・「穢土(えど)」等と名付ける。対して、仏の住む清浄な世界を「浄土(じょうど)」・「常寂光土(じょうじゃっこうど)」等と呼ぶ。この穢土と浄土は大きな海に隔てられているとして、穢土側の岸を「此岸 (しがん)」といい、常寂光土側の岸を「彼岸(ひがん)」という。この「此岸」を「迷いの心」、「彼岸」を「覚りの心」と言い換えると、迷いから覚りには容易に達することができないことを、荒れ狂う大海を渡る舟に例える。

○咸く彼岸を資:法華経の教えすべてが、私たちの彼岸に向かう手助けとなる、との意。

○思惟:深く思うこと、考えめぐらすこと、一心に集中すること。

○修習:物事を安定した状態にするように習うこと。ここでは、心を安らかにするための方法を学ぶこと。

○永く舟航の用たり:法華経が、生死の大海をわたる厳しい航海に耐え目的地に到達するために有用な教えである、との意。


〈日蓮正宗 佛乘寺〉

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日蓮正宗向陽山佛乗寺