日蓮大聖人御書拝読と御法話

平成27年2月7日 興師会(日興上人御報恩御講)拝読御書

日興遺誡置文

日興遺誡置文(平成新編御書一八八四頁)
元弘三年一月一三日

日興遺誡置文 (御書一八八四頁)

一、富士の立義聊も先師の御弘通に違せざる事。
一、五人の立義一々に先師の御弘通に違する事。
  (乃 至)
一、未だ広宣流布せざる間は身命を捨てて随力弘通を致すべき事。
  (乃 至)
右の条目大略此くの如し、万年救護の為に二十六箇条を置く。後代の学侶、敢へて疑惑を生ずること勿れ。この内一箇条に於ても犯す者は日興が末流に有るべからず。仍って定むる所の条々件の如し。

 元弘三年癸酉正月十三日                 日興花押


 この『日興遺誡置文』は元弘三年〔1333年)一月十三日に、日興上人御自らが認められたもので、御文の最後に記されておりますように二十六箇条からなっております。

「遺誡」とは、誡めを後の人々に遺す意ですから、現代風にいえば遺言のことです。

 ここに挙げました最初の二箇条から、日興上人が正法正義をお守り下さったことと、五老僧といわれる他の弟子達が正法正義に背いたことが明らかです。

 さらに、大聖人様の教えを世界中に弘めることを勧め、最後に富士大石寺の末流はこの一条においても犯してはならないと御遺命です。

 この御遺誡の後、一月をまたず、二月七日に日興上人は御入滅されたのです。まさに、本門弘通の大導師としてのお姿であると有り難く拝するものです。

 ご案内のように、来る三月八日は日興上人が御生誕なさって七百七十年の佳節です。総本山では、三月七日と八日に御生誕七百七十年をお祝い申し上げる法要が奉修されます。これには佛乘寺からも代表の方々が参詣されることになっております。

 また、三月二十二日から三十一日までの十日間、全国の法華講衆が登山参詣をしてお祝いを申し上げることになっております。

 さらに、四月十八日から二十一日にかけては、海外の法華講衆の代表約三五〇〇名が遙々と総本山に足を運び、日興上人への感謝の気持ちを表し御生誕を奉祝することになっております。

 日興上人がお生まれになったのは、鎌倉時代の寛元四年(一二四六年)です。この時、日蓮大聖人様は御年二十五歳で、比叡山や京都等で仏法を習い極められておられました。またこの年に、北条時頼が鎌倉幕府第五代執権になっております。後に大聖人が『立正安国論』を上程した相手です。

 日興上人は山梨県の鰍沢で誕生されました。現在の地名では山梨県富士川町となっております。富士川の水運の要衝として栄えた町で、総本山から車で一時間三十分ほどで行くことが出来ます。

 鰍沢と聞いて落語の演題を想い浮かべるかも知れませんが、その鰍沢です。落語では、身延に参詣した帰りに大雪で道に迷い大変な目に遭ったことが語られておりますが、大聖人様が身延に入山された元になられたのが日興上人であることを知る人は、本宗の信仰をしている私たちだけのように思います。しかし、日興上人のお生まれが身延山の麓にある町であることがわかれば、そのいわれも納得できるものとなります。

 さらに、身延の地頭であった波木井実長と日興上人との縁も理解できるでしょう。その波木井実長は、大聖人様より日興上人が御付嘱を受けられ身延に常住される喜びを、
「さては久遠寺に法華経のひろまらせをはしまし候よし、うけ給はり候事、めでたく喜び入て候。さて御わたり候事故聖人の御わたり候とこそ思いませ候へ、(中略)さてわたらせ給い候ことはひとへに聖人のわたらせ給ひ候と思ひまいらせ候に候、恐々謹言

  二月十九日                      沙弥日円在り判

 進上、白蓮阿闍梨御房 」 (波木井家文書・富士学林研究科)
と記して、日興上人にお手紙を差しあげているほどです。実長は、「久遠寺に日興上人が常住されていることは、大聖人様がおわしますように思います」といっているのです。

 この書状から、大聖人様が日興上人に法を付されたこと、身延山久遠寺の別当(住職)を託されたことを、地頭であ波木井実長自らが認めていることなのです。

 ところが後になると、次のような状況になります。
「日興が波木井の上下の為には初発心の御師にて候事は、二代、三代の末は知らず、未だ上にも下にも誰か御忘れ候べきとこそ存じ候へ」
 この御文は『原殿御書』の一節ですが、現代語に訳しますと、「日興が波木井家の人々を折伏し、日蓮大聖人の教えに導いたことは、後々の子孫はともかくとして、今現在忘れている人は誰もいないでしょう」となります。

 そこで日興上人はやむなく身延を離山されて富士大石寺を開創されたのです。

 日蓮大聖人といえば「身延山」と世間ではいいます。しかし、歴史を少し学ぶだけで、日蓮大聖人といえば日興上人、そして富士大石寺とつながることが理解されます。

 日興上人御生誕七百七十年の佳節に、日蓮大聖人様の教えを正しく伝える「日蓮正宗富士大石寺」の信仰を愈々打ち立ててまいりましょう。

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