第2回

実りの秋を迎えて
by ひらさわ
テーマ:思いを込めて一句
 「立秋を迎えて」を読ませて頂き、近くの水辺の原風景に出会えるところに足を向けて歩いてみたのは1ヶ程前のこと。

 足裏には心地のよいチップが敷きつめられた木陰の遊歩道には、ヒルガオ、ノカンゾウ、露草等が咲き、隣接の栗林の栗の青い実が、顔をのぞかせるのどかな路。ゆっくりと流れる川面には、アメンボウの間をツンツンと尾を浸しながら川トンボが行き来していて、川の流れの中を、メダカやハヤが泳いでいるのが分かる。そんな木陰と水辺の間をぬってそよ風が渡ってきた。クーラーの風に慣れてしまっている肌にやさしいこの感触は、懐かしい涼感だった。遠い昔にタイムスリップしたかのようなゆったりとしたそんな空間に身をゆだねていると、突然川底をけって、すばやく石の下に逃げ込む生き物が数匹。しゃがみこんでよく観察してみると、そろりそろり出てきたのは、アメリカザリガニだった。最近はあまりお目にかかることのなかったアメリカザリガニ。流石天然物は、スリムで俊敏。市街地と隣合わせに遺された“自然“に感激した一日でした。

 そこで一句久ぶりに詠んでみました。

 武蔵野の 繁みに咲ける 露草の にごりにしまぬ 色をも香をも

 「秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる」の作者は藤原敏行です(清和・宇多両帝に仕え、近衛中将、蔵人頭、右兵衛督などを歴任した。在原業平の従兄弟にあたる人です。

 気が付けばいつの間にかもう秋ですね。皆様、お身体に気をつけて実りの秋を有意義にお過ごし下さいませ。

                                       平成14年 9月吉日

文責編集部